TOP 投資/ソーシャルレンディング コラムこれさえわかれば怖くない!不動産クラウドファンディング〜5つのメリットと2つのデメリット~

様々な投資スキームが生まれるなか、不動産クラウドファンディングに関心を寄せる人も増えているのではないでしょうか。従来ではなかなか手が届きにくかった不動産投資ですが、不動産クラウドファンディングという手法ができてからは、一般の投資家の参入が容易になりました。

参入は容易ですが、投資として成功するためには知っておくべきポイントがいくつかあります。ここでは、不動産クラウドファンディングにおける5つのメリットと2つのデメリットを解説します。

不動産クラウドファンディングの特徴と背景


不動産クラウドファンディングのメリットやデメリットを説明していく前に、特徴を少しみておきましょう。クラウドファンディングと不動産投資という2つのスキームが組み合わさった、不動産クラウドファンディング。

クラウドファンディングとは、インターネット上から出資者を募集して多くの人から資金を集めることを意味します。不動産投資とは、区分マンションや1棟アパート、オフィスビルや駐車場といった不動産を購入して家賃収入や売却益を得る投資手法です。

これらのスキームが合わさったことで、今までハードルの高かった不動産投資への参入が容易になりました。その背景には金融庁による「貯蓄から投資へ」という促進作用があります。

金融商品取引法の施行や度重なる法改正により、クラウドファンディング事業者の参入ハードルが下がったことや、出資者である投資家保護の観点が盛り込まれたことで、不動産クラウドファンディング熱が高まったのです。

不動産クラウドファンディング5つのメリット


不動産クラウドファンディングの詳しい内容について、メリット・デメリットとともにみていきましょう。不動産クラウドファンディングとよく似たスキームと比較しながら説明していきます。

投資対象を自ら選択できる

不動産クラウドファンディングとよく似ていて混同されやすいものに、ソーシャルレンディングとJ-REITがあります。

ソーシャルレンディングとは、インターネット上で出資者を募り、その出資金をもとにソーシャルレンディング事業者が資金を必要とする事業者に貸し付ける仕組みのことで、融資型クラウドファンディングに分類されます。

仲介業者であるソーシャルレンディング事業者が、お金を貸す人と借りる人を結びつけるというシステムで、分配金はお金を借りた事業者が払う利息にあたります。ソーシャルレンディングに出資した場合、その出資金がどの事業者に投資されるのかを知ることはできません。

J-REITとは、不動産投資信託のことで、投資信託会社に出資した資金をその会社のファンドマネージャーが証券として運用します。投資のプロであるファンドマネージャーが商品を選ぶことや、分散投資されていることから、不動産投資初心者にとっては参入しやすいかもしれません。

しかし、投資先が不透明であることや、投資対象である不動産市場の影響だけでなく、証券取引所における金融商品として、市場変化の影響を大きく受けてしまうことがあります。

これら2つの特徴をふまえると、現段階で投資対象が選択できるのは不動産クラウドファンディングしかないことがわかります。では、なぜ投資対象を選択できることがメリットといえるのでしょうか。

投資対象が選べるということは、その対象物件の運用状況を事細かく知ることができるということです。建物の構造や築年数、住所や入居状況などを知ることで、その不動産にどれほどの価値があるのかを自ら判断することができます。

クラウドファンディング事業者によって多少異なりますが、ファンド概要としてその運用状況だけでなく、周辺環境や投資のポイントなどをふまえた情報提供をおこなうこともあります。

不動産クラウドファンディングには、自身が投資した資金を自身が選択した不動産に投資し、その運用状況を確認できるというメリットがあります。

投資金額が少額(1万円~)

現物不動産投資では、どんなに安い物件でも数百万円以上は必要です。しかし、不動産クラウドファンディングでは、投資対象が不動産であるにも関わらず、1万円からの少額投資が可能です。

様々なクラウドファンディング事業者があり、投資条件に差異はありますが最低投資金額に関しては1万円となっています。不動産クラウドファンディングには、若年層や個人事業主など融資が受けにくい方にも、気軽に不動産投資ができるというメリットがあります。

複雑な手続きや多額の手数料が不要

現物不動産投資には物件購入までに様々な費用や手続きが発生します。物件購入前には、物件の選定、融資の打診や審査、書類収集など数カ月ほどの時間と労力が必要です。また、物件購入後も賃貸管理や建物管理、それに伴う費用が必要となります。

一方、不動産クラウドファンディングの場合に必要となるのは、インターネットからの会員登録のみです。その際、本人確認の書類が必要となりますが、ファンド申し込みに至るまで全く労力も費用もかかりません。ただし、その分現物不動産投資よりも利回りが低くなってしまうことを念頭に入れておきましょう。

不動産投資型クラウドファンディングには、手続きや手数料といった労力や費用をかけずに、少額で投資できるというメリットがあります。

投資家保護優先のスキームがある

優先劣後構造を利用しているクラウドファンディング事業者が多数あります。不動産クラウドファンディングにおける優先劣後構造では、投資家である出資者は「優先出資」とされ、クラウドファンディング事業者は「劣後出資」とされます。

優先出資である投資家は優先的に分配金を受け取り、運用でマイナスが生じた際はクラウドファンディング事業者が出資額の範囲内で先に負担するといった仕組みです。不動産クラウドファンディングには、優先劣後スキームによって投資家のリスク軽減がなされるというメリットがあります。

効率のいい複利運用で資産増大が目指せる

クラウドファンディング事業者によって、分配金の受け取り方法が異なります。ファンド運用終了後に元本と分配金を一括で受け取る方法や、元本は出資したまま毎月分配金のみを受け取る方法があります。

月々受け取る分配金を余剰金とみなして別の案件に投資したり、一括で受け取った分を新たなファンドに再投資したりして、資産運用のサイクルを作ることが可能です。不動産クラウドファンディングには、効率よく再投資することで複利運用による資産増大を目指せるというメリットがあります。

不動産クラウドファンディング2つのデメリット


多くのメリットがある不動産クラウドファンディングですが、その反面デメリットも存在します。デメリットを知ることで不動産クラウドファンディングの全容を把握して、メリットを活かした投資をおこないましょう。

不動産投資特有のレバレッジが効かない

不動産投資のメリットは、融資によるレバレッジ効果であるともいわれます。融資を利用することで現金では購入できないような大きな不動産を購入し、現金だけの運用よりも効率的かつ効果的に運用することをレバレッジの効いた投資といいます。

しかし、不動産クラウドファンディングへの投資において、融資可能な金融機関はありません。そのため、不動産クラウドファンディングでは、レバレッジ効果が期待できないというデメリットがあります。

元本割れリスクがある

先ほど優先劣後スキームによって投資家が守られているというお話をしましたが、元本割れのリスクを解消するものではありません。あくまでも、事業者が先に負担を負うというもので、事業者が負いきれなかった負担は投資家が負うことになるのです。

不動産クラウドファンディングにおいて、投資という性質上、元本割れのリスクというデメリットがあることを理解しておきましょう。

まとめ


不動産クラウドファンディングでは、他の投資スキームよりも情報開示や投資家保護など観点が充実しています。ミドルリスク・ミドルリターンといわれる不動産投資ですが、クラウドファンディングと組み合わさることで、その構図は大きく変わるでしょう。

まだ歴史の浅い不動産クラウドファンディング。 さらなる法改正を伴いながら、投資促進に向けて改良されていくことが期待されます。