TOP 投資/ソーシャルレンディング コラム不動産投資のもたらす節税効果を解説!節税につながる4つの税金とは

「不動産投資は節税効果がある。」そんな言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。しかし、どんな税金がどれくらい節税になるのかを説明できる投資家は意外と少ないです。不動産は確かに節税に繋がる場合があります。

ただし、どの税金の節税に繋がるかを理解しておくことは非常に重要です。また、節税するためには様々なデメリットもありますので、デメリットもよく理解したうえで不動産投資による節税を行う必要があります。今回は不動産投資で節税につながる4つの税金について解説します。

不動産投資は所得税・住民税の節税に繋がる?

不動産投資のイメージ画像

所得税と住民税は自分が得ている所得によって課される税金。不動産投資によって所得税・住民税の節税につながる場合があります。ただし、不動産投資で節税をすることができるのは確定申告を行った際に不動産投資が赤字になっている場合のみ。

不動産投資を行って赤字になった金額については他の所得と通算することができるため、所得税・住民税の対象となる課税所得を減らすことが可能です。不動産投資には減価償却費や物件の管理費、ローンの金利など様々な経費がかかります。

特に購入時には登記費用や仲介手数料など、様々な経費がかかりますので、赤字になりやすくなります。赤字になった分は他の所得から差し引くことができますので、所得税・住民税の節税に繋がります。

しかし、投資した不動産の運営がうまくいき、黒字に転換してくると所得税・住民税は増えてしまいます。不動産投資を行ううえで必ずしも所得税・住民税の節税につながるわけではないことは覚えておきましょう。

また、節税のために経費を無理に増やして赤字にする必要はありません。経費として認められないような不動産投資には関係ない費用を経費として計上してしまうと税務署から指摘され、追徴課税を取られる危険性もありますので注意が必要です。

不動産投資は黒字になっている方が健全な状態と言えるので、所得税・住民税の節税を無理に目指す必要はないでしょう。では、近年市場が拡大している不動産投資型クラウドファンディングの税金はどうなっているのでしょうか。

不動産投資型クラウドファンディングとは多くの投資家からお金を集め、不動産を購入する手法です。多くの投資家から少しずつ出資を募ることで、個人ではとても買えないような大型の物件も購入することが可能です。

不動産投資型クラウドファンディングで得た分配金は雑所得として20.42%の税金が課されます。また、不動産投資型クラウドファンディングで得た利益は他の所得と損益通算ができないため、所得税・住民税の節税に繋がることはありません。

不動産投資は相続税・贈与税の節税に繋がる?

贈与税のイメージ画像

不動産投資で節税効果を大きく得られるのは相続税・贈与税です。そのため、高齢の資産家がなるべく、少しでも子ども達に多く財産を遺すために相続税の節税を行う場合も多く見られます。

不動産投資によって相続税・贈与税の節税につながる理由は「現金」と「不動産」の評価に差があること。不動産は土地と建物をそれぞれ分けて評価をします。まず土地の評価は「路線価」と呼ばれるもので評価します。

路線価は国税庁が各道路に面している土地の1㎡あたりの価格を定めるもので、時価の8割程度。例えば、路線価が50万円の土地を100㎡保有している場合、その土地の相続税評価額は5,000万円(50万円×100㎡)となります。

一方の建物は固定資産税評価額で評価をします。固定資産税評価額は時価の7割程度といわれています。更に建物を第三者に貸している場合、貸家建付地として土地部分について、更に評価を圧縮することが可能です。

貸家建付地の計算方法は以下の通りです。自用地として利用した場合の価額 - 自用地とした場合の価額 × 借地権割合(多くの場合70%) × 借家権割合(30%) × 賃貸割合

つまり現金1億円を出して、不動産を購入するとその評価は土地の場合は8割、建物の場合は7割の評価で人に貸している場合は3割を控除できるということです。その差額が不動産投資をする際に相続税・贈与税対策の効果です。

具体的に不動産投資を行うことで相続税・贈与税の課税対象となる財産がどれくらい減少するかを計算してみましょう。

【計算例】

購入した不動産:投資用の戸建て物件(賃貸中)

不動産の購入価格:1億円(土地部分:5,000万円 建物部分5,000万円)

土地部分相続税評価額(路線価):4,000万円(時価5,000万円の80%)

貸家建付地としての評価:3,160万円(=4,000万円‐4,000万円×70%×30%×100%)

建物部分相続税評価額(固定資産税評価額):3,500万円(時価5,000万円の70%)

3,160万円+3,500万円=6,660万円

上記のように不動産投資を行うことで評価額を大きく下げることができます。

1億円あった現金が不動産を購入することで、評価を圧縮でき、3,340万円も評価を下げることができるのです。

ただし、せっかく不動産を購入することで、相続税評価を下げることができても家賃収入が溜まってきてしまいます。資金に余裕がある場合には貯まってきたお金でもう一つ不動産を購入するということも検討してみても良いでしょう。不動産を増やすことで更なる節税効果を期待することができます。

相続税・贈与税を節税する際の注意点

相続税のイメージ画像

不動産投資は相続税・贈与税の節税につながることはご理解いただけましたでしょうか。メリットが大きい不動産投資での節税ですが、注意点もあります。不動産投資で相続税・贈与税を節税する際の注意点を見ていきましょう。

相続税・贈与税を支払う為の現金を用意しておく

相続税・贈与税は原則、一括で現金支払いをする必要があります。不動産に多額の投資をして現金が確保できないと、相続税・贈与税の支払いをすることができません。特に相続はいつ発生するかわからないので、いつ相続が発生してもいいように常に現金を確保しておく必要があります。

遺産相続で揉めないようにする

不動産は現金に比べると分割することが難しい財産です。持ち分を分割する「共有」も可能ですが、共有で相続すると不動産の売却や建物の建て替えなどの意思決定をする際に持ち分を持っている人全員が合意する必要があるので、できれば共有での相続は避けた方が良いでしょう。

しかし、相続人が複数いる場合に単独で価値の高い不動産を相続や生前の贈与で受け取ってしまうと財産全体のバランスが崩れてしまいます。そうなってしまうと相続税の節税には成功しても、相続人間で争いに発展してしまう可能性もあります。

このような事態を避けるためにどのような割合で相続するのかも検討したうえで不動産を購入した方が良いでしょう。

まとめ

不動産投資の節税効果について説明しました。不動産投資は所得税・住民税と相続税・贈与税の節税につながります。ただし所得税・住民税の節税効果はあまり期待しない方が良いでしょう。

経費が大きい初期段階では節税につながりやすいものの、運営が上手くいくと、逆に所得税・住民税が増えてしまいます。そもそも、所得税に繋がるということは経費が収入を上回り赤字となっているということですので、あまり好ましい状況ではありません。

一方の相続税・贈与税の節税効果はとても大きいものがあります。不動産は一般的に時価よりも相続税・贈与税の評価の方が低くなる傾向があるため、現金を不動産に変えることで大きな節税効果が得られるでしょう。

ただし、不動産投資で節税を行う際には現金の確保や相続人間の争いの問題等、しっかり注意し対策を行う必要があります。