不動産クラウドファンディングとは
不動産クラウドファンディングとはどのような商品なのでしょうか。まずは不動産クラウドファンディングの概要を確認してみましょう。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは不特定多数の人からお金を集める仕組みです。クラウドは「群集」。ファンディングは「資金調達」を意味します。つまり、クラウドファンディングは多くの人から資金を集める仕組みだと考えてください。
クラウドファンディングで集められた資金はさまざまな用途で使われることがあります。新規事業立ち上げのために利用される場合や、東日本大震災の際には復興資金を集める手段としてクラウドファンディングの仕組みが使われたことで話題になりました。
クラウドファンディングはインターネットの普及によって発展したと言われています。クラウドファンディングは不特定多数の人に事業のビジョンを訴える必要があります。
不特定多数の人に事業のビジョンを訴えるためにインターネットは最適です。インターネットをつかうことで事業を行う人は動画などさまざまな手法を使って投資家に訴えることができます。
投資家もわざわざ事業を行う人の話を聞きにいかなくても家で、情報を得る事が可能です。インターネットの普及がなければクラウドファンディングの発展は無かったと言えるでしょう。
不動産投資とクラウドファンディング
クラウドファンディングの発展の中でも特に拡大したのは不動産クラウドファンディングです。不動産クラウドファンディングとはクラウドファンディングで集めた資金で不動産に投資し、不動産から得られた収益を投資家に分配する仕組みです。
不動産クラウドファンディングが発展した理由は不動産投資とクラウドファンディングの相性が良いからだと言われています。不動産投資とクラウドファンディングの相性が良いと言われる理由は不動産投資のデメリットをクラウドファンディングがうまく打ち消すことができていることです。
不動産投資は賃料収入などの安定的な収益が魅力ではありますが、投資対象の不動産は価格が高く一部のお金持ちしか投資をすることがなかなかできませんでした。
しかし、クラウドファンディングの仕組みを利用することで多くの人が少しずつお金を出すことができるため、規模の大きい不動産でも少額で投資をすることができます。
不動産クラウドファンディングを運営している会社にもよりますが、1万円から投資ができるものもありますので、不動産投資の敷居をかなり下げることができていると言えるでしょう。
不動産投資のもう一つのデメリットは管理の手間がかかると言う点です。不動産クラウドファンディングでは不動産の管理は運営会社がおこないますので、投資家が行う必要はありません。
このように不動産クラウドファンディングは不動産投資のデメリットをうまく打ち消すことができているのです。クラウドファンディングの仕組みが普及することによって、小口の投資家が多く参入できるため、今後の不動産市況にもプラスに働く可能性が高いと言われています。
ソーシャルレンディングとは
不動産クラウドファンディングとよく似たものに「ソーシャルレンディング」と呼ばれるものがあります。不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングにはどのような違いがあるのでしょうか。
ソーシャルレンディングの概要
ソーシャルレンディングは不動産に投資をする事業者にお金を貸すことで、間接的に不動産投資の恩恵を受ける金融商品です。一方、不動産クラウドファンディングは直接的に不動産に投資をすることになります。
その違いから両者には適用される法律が異なります。ソーシャルレンディングは「お金を貸す」と言う行為であるため、金融商品取引法の規制対象となります。
そのため、ソーシャルレンディングを営む事業者は金融商品取引業者や貸金業者としての免許を受ける必要があります。
一方の不動産クラウドファンディングは不動産を共同で直接販売する際に適用される不動産共同特定事業法の対象となります。
そのため、不動産特定共同事業者としての免許を受ける必要があります。両者には法律上の違いがあると言うことは理解しておくと良いでしょう。
ソーシャルレンディングの収入源は「利息」
ソーシャルレンディングは貸し出しを行うことで償還時に元本と利息を受け取る商品です。クラウドファンディングは賃料収入や売却時に得た利益を厳選としています。クラウドファンディングとソーシャルレンディングでは収入源が異なるということは覚えておくと良いでしょう。
不動産クラウドファンディングのメリット
不動産クラウドファンディングにはどのようなメリットがあるのでしょうか。不動産クラウドファンディングで享受できるメリットを具体的に見ていきましょう。
少額で投資をすることができる
不動産クラウドファンディングは少額の投資家でも投資をすることが可能です。従来不動産は比較的価格が安いものでも数千万円。金額の大きいものでは億単位の投資対象です。
個人の投資家がなかなか出せる金額では無いと言えるでしょう。しかし、不動産クラウドファンディングであれば1万円程度で投資をすることが可能です。
個人投資家にはなかなか手が出せない不動産投資に少額で参加できるということはクラウドファンディングの仕組みを活用する大きなメリットと言えるでしょう。
不動産の管理をする必要が無い
不動産投資では家賃の回収や修繕や建て替えの計画の立案など、様々な業務を行う必要があります。また、固定資産税の支払いなど、税金面で必要な作業が多くありますので、不動産投資を検討している方の中には仕事が忙しくて断念している方も多いのではないでしょうか。
不動産クラウドファンディングでは不動産の管理はクラウドファンディング会社が行なってくれますので、投資家が直接行う必要はありません。
日々の管理業務は不動産投資において大きな負担となりますので、手間がかからないと言う点はクラウドファンディングのメリットの一つと言えるでしょう。
換金しやすい
不動産クラウドファンディングは通常の不動産に比べて換気しやすい点も特徴の一つです。通常不動産を売却する際は不動産の査定を行い、買主を探し、契約書を書面で交わす必要があります。
また、不動産を売買する際は登記も行う必要がありますので、面倒な手続きを行わなければ換金することができません。一方、クラウドファンディングであれば複雑な手続きを経ることなく売却し、現金化することが可能です。
ただし、一定期間は解約できないクラウドファンディングもありますので、解約する可能性がある方は解約できるか否かもしっかり把握して購入するようにしましょう。
インターネットで購入できる
不動産クラウドファンディングはインターネット上で購入手続きを行うことができますので、普段仕事などで忙しくしている人でも購入することが可能です。不動産を購入する際は通常、現地の見学や契約の手続きを行う必要がありますので、時間的な負担も大きいものです。
しかし、不動産クラウドファンディングを活用すれば自宅にいながら不動産投資に参加することができます。また、投資対象となる不動産は不動産投資のプロが選定している物件ですので現地見学をせずとも安心して購入することができます。
不動産クラウドファンディングのデメリット
不動産クラウドファンディングはメリットも大きい投資方法です。しかし、デメリットもあります。具体的に不動産クラウドファンディングのデメリットを解説します。
元本保証では無い
不動産クラウドファンディングは元本保証では無いと言う点はしっかり理解して投資をはじめる必要があります。不動産は株式に比べると変動が少ない投資対象と言われています。不動産は安定した賃料収入を得られるうえ、価格変動は大きくありません。
また、一口に不動産といっても投資対象となる不動産によって利回りや変動も大きくなります。一般的にオフィスビルや商業施設は景気の影響を受けやすいと言われています。
一方、賃貸マンションなどの住宅は景気の影響を受けにくいといわれています。しかし、賃貸マンションであれば、絶対安心かというとそうではありません。
不動産には空室となってしまうリスクや天変地異により大きなダメージを受けてしまうリスクもありますので、常にリスクは伴います。
不動産クラウドファンディングは不動産投資ですので、元本割れの危険があるということはしっかり理解して投資を始める必要があります。
不動産を自分で使うことはできない
クラウドファンディングで投資をした不動産は複数の人で出資をして購入します。そのため、自分で住んだり親戚に貸したりするというようなことはできません。
投資をした不動産を自分で使うことができると言う点も不動産投資の一つのメリットです。しかし、不動産クラウドファンディングを通じて購入した不動産は自分でつかうことはできません。
短期間で大きな利益は得られない
不動産クラウドファンディングはミドルリスク・ミドルリターンの投資です。また、不動産投資は安定的な賃料収入を得る事で長期間かけて利益を得る投資です。そのため、FXや株式のように短期間で2倍、3倍となるような大きな利益を得る事はできません。
不動産クラウドファンディングはどんな人に向いている?
不動産クラウドファンディングはどんな人に向いている投資なのでしょうか。具体的にみて行きましょう。
まずは少額で投資を始めたい
不動産クラウドファンディングは少額で投資をすることが可能です。不動産投資は物件を担保に入れて融資をうけることができるため、手元資金が少なくても投資を始める事は可能です。
しかし、年収の何倍もの融資を受けることはリスクが伴います。不動産投資がうまくいかなければ、借金を自分で払うことになってしまいます。
不動産クラウドファンディングは少額で始めることができますので、大きなリスクをとらずに不動産投資を始めたいと言う方にオススメです。
大儲けが出来なくてもコツコツとお金を貯めて行きたい
不動産クラウドファンディングは短期間で大儲けをできるわけではありません。コツコツと長期間かけてお金を貯めて行きたい方におすすめです。
例えば、年金2,000万円問題で話題となった老後資金です。老後資金は長期間かけてコツコツとお金を貯めることが重要です。不動産クラウドファンディングのような安定的に利回りが期待できる運用商品は老後資金を貯めるためには向いていると言えるでしょう。
忙しくて投資には時間がかけられない
不動産クラウドファンディングはインターネット上で購入することができ、運用期間中も投資家がすることはほとんどありません。
通常の不動産投資では契約や現地見学、物件の管理など様々な手間がかかります。普段は仕事などで忙しい方にとって、不動産投資は難しいものですが、不動産クラウドファンディングであれば、簡単に参加することができません。
また、大きく値段が変動するわけではありませんので、FXや株式のように毎日価格をチェックする必要がありません。
不動産クラウドファンディングは値上がりした時にすぐにタイミングよく売ることができない方にとっても投資しやすい商品と言えるでしょう。
まとめ
不動産クラウドファンディングは新しい投資手法です。伝統的な投資資産である不動産を新しい投資手法であるクラウドファンディングを利用することによって小口の投資家も不動産投資に参加できるようになりました。
また、クラウドファンディングの仕組みは不動産投資のデメリットであった手間がかかると言う部分をうまく打ち消すことができていると言えるでしょう。
不動産投資とクラウドファンディングは相性がよく今後もクラウドファンディングを通じた不動産投資は増加する可能性が高いと言われています。